その答えを知る手がかりは、単純にも食事にあるようです。栄養学の視点からは食事は食餌と表現したほうが的確のようです。食餌には脂溶性の魚・肉と水溶性の野菜があります。まず、その作用の違いに気づく必要があります。
脂溶性の食餌は胃・小腸・大腸の消化管で水溶性に分解され栄養として吸収されていきます。その過程において、消化管内の微生物が産生する毒素や食餌由来の活性酸素などが生じます。野菜に含まれているある種の成分が消化管内の毒素を消す作用があるという仮説を聞くと、わたしたちが野菜を食べている理由が理解できます。
微生物毒素や活性酸素の解毒という視点からの栄養バランスは、従来の三大栄養素を中心とした栄養バランスの考え方とは異なってきます。従来の”栄養”は滋養という意味にちかく、摂取する方に傾きがちです。この場合の”栄養バランス”とは、偏った食餌を避け幅広く食べなさいということです。これも大切なことには違いないのですが、現在、食材が多すぎて何をどれだけ食べれば良いのかわからなくなります。食べ物や栄養に関する情報素の氾濫がこれに拍車をかけています。その結果、いわゆる入れっぱなしの食餌、食べっぱなしの食餌になりやすくなります。
現状の栄養には解毒と排泄の視点が欠けているのです。栄養バランスには、摂取と排泄、食毒と解毒という考え方を導入する必要があります。三大栄養素の他に野菜成分の働きからヒントを得た摂取と排泄、食毒と解毒のバランス方法が提案されます。